saitou_ken_monogatari
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それは、どの組織も同じである。日産自動車の改革が成功したのも、カルロス・ゴーン社長が中間管理層を引き上げたからだ。ゴーン社長は、言っている。「日産改革の成功の要因は、日産の中にあった」現場を離れて久しい役員クラスは、現場の実態が把握できていない。一般社員は、全体が見えない。その点、中間管理層は、組織全体を見ているし、現場も知っている。大きな組織の改革は、この中間管理層がどう動くかによって成否が分かれるのだ。なお、斎藤は、道路公団の民営化は進んだと評価している。道路は大事であり、いっさい造らないというのは暴論だ。段取りを踏み、コストをカットしながら少しずつでも造り続けていくことは必要だと思っている。平成14年3月、斎藤は、ちくま新書から「転落の歴史に何を見るか―奉天会戦からノモンハン事件へ」を出版した。1905年の奉天会戦から1939年のノモンハン事件に至る34年間は、国家改造計画から共産主義思想まで、日本が内発的な改革に呻吟した時代であった。しかし、結局、軍部の専制を防げず、敗戦という悲しみと汚名の結末を迎えることになる。自己改革が失敗に終わった原因はどこにあったのだろうか。この本は、そんな戦前の帝国陸海軍の転落の歴史から、同じ官僚組織にいる現在の行政マンが何を学ぶべきかという問題意識で書き上げたものであった。が、その旅は、組織論的なヒントをつかむといった次元を超えて日本社会の底流に触れ、10・「ジェネラリストのリーダーこそ必要」18

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