saitou_ken_monogatari
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で油断は生まれない。が、少し弱い相手には、どうしても油断してしまう。どんでん返しで足元をすくわれかねない。それを、いかにコントロールしていくかが、キャプテンの役割の一つであった。また、試合が競ったとき、最後まで踏ん張れる原動力となるのは練習量だ。斎藤は、試合の休憩時間中、メンバーに檄を飛ばした。「あの苦しい練習を思い出そうよ。女の子とのデートもできず、授業も出られなかった。成績を犠牲にし、プライベートのいろいろ楽しいこと犠牲にし、ずっと練習してきたのだから、それをこの試合で取り戻そう。ここでちょっと気を抜いてやったら、これまで苦しい練習をしてきたことが全部無駄になるぞ」そうすると、不思議と一体感が生まれ、ムードが変わった。さて、4年生となった昭和56年10月1日、就職活動が解禁された。が、斎藤は、あまり活動することなく、のんびりとしていた。〈体育会の運動部のキャプテンは、商品価値が高いはずだ。希望すれば、どこの企業でも採ってくれるだろうだろう〉斎藤は、数社の大企業を回った。が、いずれも7さいとう健けん物語この頃の情熱は今も変わらない

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