NHKインタビュー(WEB特集)のご案内
さいとう健のNHKインタビューがWEB特集として記事になりました。日米交渉についてです。インタビューを受けているのは、甘利前大臣、江田憲司衆議院議員にさいとう健の3人です。
下記のURLから記事全文をご覧になれます。なお、記事は2週間ほどしか公開されていませんので、お早めにご覧いただければと思います。
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2017_0303.html
以下は掲載記事の抜粋になります。
【貿易摩擦再燃? トランプ政権どう攻略】
アメリカのトランプ大統領がTPP協定からの離脱を決め、経済問題で日本を名指しで批判するなど、不安が高まる中で行われた2月の日米首脳会談。
しかし、ふたを開けてみれば、安倍総理大臣とトランプ氏が“蜜月”ぶりを演出し、懸念していた経済問題での厳しい批判や要求もなかったということで、日本政府や経済界はひとまず安堵しました。
一方で、両首脳は、貿易問題などを協議する「経済対話」の枠組みの設置で合意。
過去を振り返れば、両国には激しい貿易摩擦の歴史があり、今後、この枠組みを通じて厳しい要求があるのではないかという声も絶えません。
日本は「経済対話」にどう臨むべきなのか?日米の厳しい交渉を知る当事者たちの話から、そのヒントを探りました。
【甘利明先生】
【江田憲司先生】
この戦略のもと、実働部隊として交渉の取りまとめにあたっていたのが、自民党の齋藤健農林水産副大臣です。当時、通産省米州課の筆頭課長補佐を務めていました。
「アメリカとがっぷり四つの状態では、限界がありました。『アメリカ側が数値目標を示して、それに応じないと制裁を科すと言ってきている』とか、『こんなことがまん延したら世界経済がおかしくなる』などと説いて回りましたね」こうした日本側の主張に、各国は軒並み理解を示し、結果として、日本が主導する形で、25の加盟国のうち、アメリカを除く24か国が同意した形となり、作戦は成功しました。
齋藤氏は、このときの閣僚会合が、逆風が続いていた日米交渉の情勢を変える転機になったと言います。
「アメリカに孤立感が出たときに、状況が変わったと思いました。アメリカに自動車を輸出していたヨーロッパの国を含め、どの国も、アメリカの一方的な措置を良くないと思っていて、共感が得られました。そういう情勢を見てアメリカも、あまり押せないと思ってきたのではないでしょうか」
齋藤氏は、国際社会を大きく巻き込んで展開された、このときの交渉を、「戦後最大の日米通商交渉」と振り返ります。
「冷戦時代は、アメリカ国内に、自民党政権を揺さぶると、社会党政権に代わってしまうかもしれないという脅威があり、経済分野での日米摩擦は、どこかでブレーキがかかるメカニズムがありました。しかし、クリントン大統領が登場した後は、もう55年体制を心配する必要はなく、徹底的にやってやろうという空気になっていました。まさに、戦後最大の日米通商交渉になりましたね」
「大統領の国 アメリカ」
2年にわたって繰り広げられた交渉は、1995年6月、ジュネーブで3日間にわたって行われた最終交渉の最後の日に、アメリカ側が一転、大幅に譲歩する形で幕を閉じました。
最後の最後まで、交渉の決裂を覚悟していたという江田氏。
「カンター氏から、『クリントン大統領と電話するので15分後に来てくれ』と言われました。妥結は期待していなかったので、アメリカ側から譲歩すると聞いたときには、驚きました。と同時に、カンター氏は、クリントン大統領から、きちんと指示をもらっていなかったのだ、とも思いました。今後、日米交渉を行うにしても、おそらく、閣僚レベルではだめで、最後はトランプ大統領に上げて、バタバタと決まるのではないでしょうか」
一方、齋藤氏は、アメリカとの交渉にあたっては、大統領とスタッフの関係を理解する必要があると指摘します。
「アメリカは、大統領が依頼人で、実際に交渉する担当大臣は大統領に雇われた弁護士の関係に近い。日本は、事実関係を重要視するが、アメリカは、何が取れるか、という交渉姿勢で、かみ合わないことが多い。そうした中でも、日本として絶対に守らなければならない原則をはっきり言うことが重要です」
「課題は」
齋藤氏は、今後のアメリカとの交渉にあたって、人材の空白の懸念を指摘しました。
「当時は、70年代から、繊維やカラーテレビなど、日米の貿易摩擦がずっと続いており、アメリカとの戦いに慣れた人が多く、アメリカからタフ・ネゴシエイターと恐れられるような通産省の先輩が交渉のしかたを教えてくれた。しかし、日米間では20数年間、そういう厳しい交渉がなかったので、人材の空白ができている可能性がある。そこをよく注意して、交渉の態勢を作らなければいけない」
一方、江田氏は、野党幹部の立場も踏まえて、懸念を示しています。
「現在、日本の外交は、特にヨーロッパの国々と歩調が合っておらず、国際世論の共感を得られた90年代とは状況が違うので、今の日本のように、アメリカべったりと見られることが吉と出るか凶と出るか、見極めなければならない。結果として、信頼関係が本物で、アメリカの要求を跳ね返したら、良しとするが、国益を損ねることになったら、われわれ野党は批判することになる」
「手腕問われる経済対話」
今回、取材した3人の政治家がそろって口にしたのは、アメリカとの交渉の厳しさとともに、国際社会を味方につけることの重要性です。
今後、経済政策にとどまらず、貿易やインフラ投資など、幅広い分野で協議を進めていくという日米の経済対話。
2国間の交渉ではあるものの、国際社会の反応を見極めながら、アメリカに主張すべきことを主張するという、“絶妙な”交渉の手腕が問われそうです。
平成29年3月6日
さいとう健後援会事務所