デルタ株について
最近、新型コロナウイルス感染のリバウンドが懸念されています。先日、オリンピックの事前合宿で来日したウガンダの選手団から変異株の一つの「デルタ株」(インドで確認された変異株)の感染者が見つかったこともあり、「デルタ株」についての懸念が高まっています。東京都において12日から4度目の緊急事態宣言が発出されたことも受け、今号では7月中旬における「デルタ株」の動向をご紹介します。
ワクチン接種が進んだ米国を始め、多くの国で感染の勢いが収まりつつあるのですが、2回のワクチン接種を完了した人の割合が50%に迫る英国では、1日千人台まで減った新規感染者数が、再び1万人を超えています。感染者の9割が「デルタ株」です。米国での「デルタ株」の割合は未だ10%弱ですが、これから広がる懸念があります。「デルタ株」は今、98か国に広がっています。
我が国では、英国で見つかった変異株である「アルファ株」にほぼ置き換わっていますが、その感染力は当初のコロナウイルスの約1.5倍です。ところが、「デルタ株」の感染力はさらにその約1.5倍と、当初のウイルスの2倍以上とみられます。シンガポールの国立感染症センターによれば、「デルタ株」の感染者は、当初のウイルスの感染者に比べ、ウイルスの排出量が多く、ウイルスの排出期間も長い傾向があるそうです。
ただ実は、英国では重症者数が増加していません。「デルタ株」にはワクチンが効かないのではという声もありましたが、2回のワクチン接種を終えた人は、英国では感染しても重症化するケースが非常に少なく、今のワクチンに効力があるようです。英国公衆衛生庁の分析によると、ファイザーワクチンを2回接種した場合、「デルタ株」の重症化を防ぐ効果は96%と、従来株や「アルファ株」とほぼ同じですし、モデルナ社も6月末に、「デルタ株」への効果があったとの分析結果を発表しています。
結局、「デルタ株」に対しても、マスクや手洗いなどの従来の感染予防対策や水際対策をきちんとしながら、ワクチン接種の早期実施に取り組んでいくことにつきます。市民の皆さん、行政、医療関係者、そして政府が気持ちを一つにして、一刻も早くワクチン接種を進めていきましょう。
「デルタ株」が懸念されているとの報道が増えていますが、いたずらに不安に駆られないよう、今回は「デルタ株」について紹介しました。