消費税と二大政党
消費税の議論、何とおろかな状況になっているのでしょうか?
消費税は全ての国民の皆さんの生活に直結する大きな課題です。国会議員の一員として、無力感を感じるとともに、情けない申し訳ない気持ちでおります。
ここに至るまで財政赤字を積み上げてきたのは、理由はあるにせよ、自民党政権下のことであります。その財政赤字を何とかしようということで、現政権が消費税の増税までやろうというのであれば、本来わが党は、積極的に協力するのが筋であります。
しかも、社会保障制度、とりわけ年金制度などは、政権が変わるごとに制度がコロコロ変わるようでは、国民の皆さんも将来設計の立てようがありません。
本来であれば、政権が変わっても安定した制度になるように、与党も野党もなく協力しながら年金制度などの社会保障制度を確定してゆくべきです。現に、北欧諸国などでは、そういう努力によって安定した社会保障制度が確立されてきました。
確かに、現政権が提案している税と社会保障の一体改革の中味は問題が多いし、段取りも悪すぎる。
これまでも、「月刊さいとう健」で何度か具体的に指摘してきましたが、まず、肝心の社会保障改革が先送りになっており、しかもバラマキ傾向が強過ぎる。また、税の改革も消費税に偏っており、企業が海外に逃げてゆく原因になっている世界で最も高い法人税の改革などは全く不十分であります。さらには、国会議員や公務員の身を切る改革も不明瞭です。増税のタイミングについても熟慮が必要です。
しかし、消費税アップはいずれは避けて通れない。だとすれば、機運が高まっている今こそ、批判をするのではなく、与党と野党が協力しながら責任ある改革がなされなければならないし、そうでなければ、再び何年も問題は先送りとなるでしょう。
世界も見ています。
日本の政治は財政赤字問題を解決する能力がない、ということを印象付けるようなことになろうものなら、日本国債に対する信認が揺らぐことにもなりかねません。そうなったとき、ツケを払わなければならなくなるのは国民の皆さんです。
日本の政治のまさに正念場です。
ところが、現実の政治の現場では、党利党略によってこの重大問題が大きく引きずられています。日本の将来を見据えた真剣な議論が展開されているとは、さいとう健にはとても見えません。皆さんは、いかに感じておられますか?
戦前の歴史は、貴重な教訓をわれわれに教えています。
1920年代の初頭に、それまで明治という時代を牽引してきた力量ある政治家たちが亡くなっていきます。その後に訪れたのは、大正デモクラシーのかけ声の下、二大政党の時代でありました。政友会と民政党が政権交代を繰り返し、1920年代の後半には、何と7年間で6人の総理が交代しました。
時代は、世界大恐慌が起こり、中国をめぐる国際情勢が激動する、大変な時代でありました。そんなとき、かつての二大政党は、足の引っ張り合いを繰り返し、次第に国民の信を失っていきました。政党の体たらくは、維新を唱える軍への期待へと導き、1931年には満州事変、32年には5・15事件と日本は転落していきました。満州事変の際の若槻礼次郎総理は、台頭する軍を抑えるためには大連立政権で対抗するしかないと考えましたが、この試みも頓挫しました。
どうやら、二大政党というのは、果てしない足の引っ張り合いになるというのが、歴史の教訓のようで
あります。
われわれは、ここを何としても克服していかねばならない。
激しい論争を国会で繰り広げるのは当然のこととしても、一線を引いた節度あるやり取りというものを
心がけていかねばなりません。あるいは、年金などの分野は休戦ゾーンとして、ここは与党と野党で協力して安定した制度を作り上げるとか、ものごとが進む一定のルール作りをしていかねばならないのではないでしょうか。
ややもすれば、ルールなき殴り合いになる二大政党を、国民の皆さんが見るに耐える、正々堂々のスポーツのようになるように、日本の政治を変えていかねばなりません。さいとう健は、微力ではありますが力を尽くしていきたいと思っております。
まずは小さな努力ではありますが、国会の質問に立つとき、絶対に揚げ足はとらない、正論の直球で勝負をします、と宣言してから質問することにしております。ご関心のある方は、ぜひ、国会テレビなどで影像をご覧いただければ幸いです。
平成24年4月25日
衆議院議員 さいとう健