社会保障と税の一体改革について―さいとう健の考え―
苦渋の選択でした。
消費税の増税なんて、政治家であるならば、できることならやりたくない。
特に、さいとう健は選挙が弱いんだから。
今回、自民党が消費税増税に反対すればつぶすことはできたでしょう。
でも、そうすると、今度はわが党が政権を取り戻したときに民主党が反対して、また通らないということになる。
そんなことを繰り返していて、この国は本当にいいのか。
やはり、今回決着をさせておかねばならないのではないか。
遅れれば遅れるほど、子供たちの負担はその分大きくなるわけですし、世界のマーケット関係者の見る目も怖い。
でも、苦しい選択でした。
それで、さいとう健は、二つの前提が成り立つのならばということで、賛成する腹をくくりました。
一つは、社会保障改革の中身をしっかりしたものにすること。そして、それができなければ、増税しないこと。
それにしても、今の政府の提案には、問題が多すぎる。
最低保障年金に代表されるように、本人の努力の有無にかかわらずばらまくというものが多すぎる。
これでは、またすぐに増税となってしまう。
ここをきちっと正す。キーワードは、「持続可能性」。
幸い、国民会議を作って、社会保障の在り方についてきちっとした議論をするというということなので、そこで展開される議論に、とりあえず賭けることとしました。
いいものができなければ、増税を停止・延期することもありうるということで。
二つ目の前提は、デフレ下での増税は本当に危険なので、景気状況によって増税を停止する措置を取ること。
実際に過去痛い目に会ってます。
97年に、消費税を3%から5%に上げるときも、所得税の先行減税を実施して念には念を入れたものの、アジア金融危機の発生等々により、景気の腰折れを招きました。
今回も、この点は慎重に対応すべきです。
そこで、実際に消費税を上げる半年前に、時の政権が経済状況を精査して税率引き上げの最終判断をするということとしました。
この点については、石原幹事長は、雨が降ったら運動会を中止するのと同じだと明言しました。
合わせて、公務員人件費の削減や国会議員の定数是正といった身を切る努力も、国民会議の結論が出るまでには決着をさせねばなりません。
政治家は、庶民の痛みがわからないという声を多く聞きます。
しかしながら、今この問題を処理しておかないと、将来私は、もっと大きな痛みとなって跳ね返ってくると確信してます。
今やるしかありません。
これが皆のためだと、信念もって決心した以上は、たとえ本件が原因で落選するとしても前に進んでいく。
今、そういう心境でおります。
平成24年6月20日
衆議院議員 さいとう健