平成24年度政府予算案へ対案!
東日本大震災から1年が経ちました。改めて、亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表しますとともに、今なお被災地で苦しまれている方々にお見舞い申し上げます。
現在、さいとう健は、党の政務調査会長の補佐として、政策の取りまとめの要で仕事をさせていただいております。このたび、政府の来年度予算案に対してのわが党の考えをまとめました。
今回の月刊では、政府案との違いの主なものをご紹介させていただき、皆さんのご意見をうかがえればと思います。
まず第一は、震災後1年となる復興関連予算です。
被災者生活支援をはじめとする諸施策の万全、かつスピーディな実施に尽きます。その上でわが党の提案の特徴は、東大地震研の予測にもありますように、東日本大震災後、さらなる大地震を誘発する可能性が飛躍的に高まっていることを重視し、予防的な施策の充実に3兆円を計上しています。予防の方が、災害が起こってからかかるお金よりも安く済むからです。この予算は政府案にはありません。
第二の特徴は、自助努力を大前提にして社会保障政策の見直しを行っている点です。
具体例を挙げますと、生活保護。最後の安全網としての意義は認めつつも、不正受給には厳しく対処することとしています。また、「手当より仕事」の考えのもと、①就労の推進、②現金給付から現物給付(公営住宅の空き室利用や食料回数券の活用など)への移行、③医療費扶助の適正化を断行したいと思っております。
これらの措置により、約2兆8千億円の政府予算案の規模を、国費ベースで8千億円、地方分も入れて1兆円をねん出します。
さらに、こども手当の修正案として、政府案では、年収960万円以上の世帯に対してこども一人あたり5千円を支給するとされていますが、これは行いません。これにより、4百億円が削減できます。
また、高校授業料無償化については、所得制限を設けると同時に、低所得者への給付型奨学金を創設するとしている点が、所得制限を設けないバラマキ型の政府予算と大きく異なるところです。
第三の特徴は、経済の活性化のための大胆な施策の実行です。
デフレ・円高からの脱却に向けての金融面からの対策として、物価目標を政府・日銀の協定で定めることとします。つまり、政府と日銀の連携を飛躍的に強化することとし、金融緩和を実効あるものとします。
さらに、再編を促す効果を持つ投資減税を行い、また、中小企業対策として3百億円、政府予算に上積みします。
第四の特徴は、行革です。国家公務員の純減を可能な限り前倒し給与水準の引き下げを行うことにより、国・地方の公務員の人件費を削減し、国費ベースで1兆5千億円をねん出します。
もちろん、農業政策についても、地域の特性を無視した全国一律単価を採用する、つまり、「自助」を前提としない「農業者戸別所得補償制度」は、自助を前提とした制度に切り替えるなどの政策転換を行います。
まだまだありますが、わが方の提案全体として、総額90.3兆円の政府予算に比べて1兆1千億円程度削減する案となっております。
結局、この提案は、政府の受け入れるところとならず、24年度予算は政府提案どおり4月上旬には国会を通過する見通しです。対案作りに深くかかわった者として残念でなりません。
平成24年3月15日
衆議院議員 さいとう健