集団的自衛権についてのさいとう健の考え(第二弾)
集団的自衛権の行使を可能とする法案が国会で可決・成立いたしました。本法案についてのさいとう健の考えは、すでに8月5日発行の「月刊さいとう健号外」で述べましたが、その後も多くの方々から厳しいご意見をいただいておりますので、三つの点につきまして若干の補足をしたいと思います。
<戦争法案ではないか?>
第一点は、さいとう健は、戦争法案に賛成した、もう応援しないというご意見についてであります。
本法案は、本当に戦争法案なんでしょうか?この点については、先日安倍総理も指摘しておりましたように、この法案がもし日本が戦争をするための法案であるならば、かつての大戦の時に日本によって甚大なる被害を受けたフィリピンや東南アジアの国々、あるいはオーストラリアといった国々がこぞって懸念を表明しているはずですが、そうなっておりません。いやむしろ、この地域の安定のために必要であるという判断をしています。
もしこの法案が戦争をするための法案であるならば、これらの国々がなぜ法案に賛成しているのかの納得できる説明がなければならないと思います。
本法案が日本の安全保障のために必要な法案であるという点については前号で述べましたので繰り返しませんが、以上の点も、本法案が戦争法案でないことの一つの証明になるのではないかと思います。
<違憲ではないか?>
第二点は、本法案は違憲であるというご指摘に対してであります。
一般的な集団的自衛権の行使は、もちろん違憲であります。ただ、今回のケースは、最近の国際情勢の変化に応じて、わが国の存立基盤が根底から脅かされる場合についてのみ限定的に行使できるようにしようとするものであります。
もし、このようなケースにおいてさえも違憲であるとするなら、わが国憲法は、日本の存立基盤が脅かされるようなケースにおいても、何もせずそのまま存立基盤を脅かされていなさいと言っていることになります。これは、どの国も持つ自衛という自然権を放棄するということであり、国連でも認められている権利すら放棄す憲法学者の意見は意見として、さいとう健は、わが国憲法が日本の存立基盤が脅かさせる場合においてもアクションを起こしてはいけないと言っているとは到底思えません。この点は、堂々と憲法学者と議論できると思っておりますし、最終的には最高裁がきちんと判断してくれると確信しております。
<徴兵制になる?>
第三点は、徴兵制になるという点であります。若者を戦争に行かせずにさいとう健が自分で戦争に行けというご意見もいただきました。
戦争をするような自衛隊に若者は入らないから、いずれ徴兵制になると煽る政党もございます。ならば、そういう政党は、徴兵制禁止法案を出すべきなのではないでしょうか。わが党は、徴兵制は憲法違反であり、ありえないという見解でありますので、わが党からそういう法案を出すことはありませんが、野党からそういう法案が出るのであれば反対する理由もありません。ですが、そういう提案は、今のところございません。
本当に心配なら当然徴兵制禁止法案を国会に提出してくるはずなのですが、出てこないということは、本音では徴兵制になることはないと考えている証明になるのではないでしょうか。
以上、補足をさせていただきました。前号と併せてご覧いただければ幸いです。
結びに、前号の「終わりに」で書きました部分を再掲させていただきます。
<終わりに>
今後、政府においては、丁寧なわかりやすい説明を国民の皆さんに徹底して行っていただき、一人でも多くの方の納得を得た上で法案成立に持ち込んでいただくよう強く要請したいと思います。
同時に、この法案に基づき実際に自衛隊が武力を行使する場合には、国会の事前承認が必要とされておりますが、われわれ国会議員も、悔いのない賢明な判断が行えるよう一層の研鑽をつんでいかねばなりません。
そして、間違いのない事前承認の判断が国会において行われるためには、そもそも海外の情勢分析に間違いがあってはなりませんから、情報収集体制の強化にも努めていかねばなりません。
必要な法案とはいえ、国会議員にとっても厳しい責任が加わることになるわけで、さいとう健は今更ながらバッジの重さをずしりと感じております。