政府の経済対策にもの申す!
現下の経済情勢は、1ドル80円という円高に象徴されますように、かなり危機的な状況にあります。
しかし、経済政策の立案に長年取り組んできましたさいとう健の目から見ますと、現政権の経済対策は、本当に甘い。
今回の月刊では、責任野党の一員として、現政権が対応しなければならない対策を3点提案します。
1.「空洞化促進政策」を直ちに転換すべし。
現政権の政策は、日本から企業を追い出す、空洞化促進策のオンパレードであります。
①製造業への派遣は原則禁止する、②最低賃金はいずれ1000円にする、③CO2は15年で30%削減せよ、④法人税は40%で世界最高水準、⑤1ドルは80円。
いわゆる「空洞化5点セット」といわれるものですが、一つ一つの政策にそれなりの合理性があったとしても、これら全てが揃ってしまったら、企業はどんどん海外生産に移っていってしまいます。そして国内雇用が失われます。
今や、わが国は、1985年、1995年に続く、戦後三度目の、しかも、最大の産業空洞化の危機にあります。一度海外に出て行った事業は、なかなか戻ってはきません。
政府は、経済対策云々を言う前に、これら空洞化促進政策を直ちに転換すべきであります。取り返しがつかなくなる前に。
2.なけなしの将来財源を使い尽くす前に、バラマキを止めるべし。
このたびの政府の経済対策では、その財源として、想定外の税収増や、国債の利払い費が思ったよりかからなかった差額分などが活用されております。しかし、これらは本来、借金を返すために使われるべき財源です。
一方で高額所得者にまで子ども手当てをバラマキながら、一方でこれらなけなしの将来財源を使うというのは、論外であります。
今回の補正予算の財源としましては、まずは、景気浮揚効果の薄いバラマキ予算を執行停止し、その財源で対策財源をまかなうべきであります。われわれの試算では、これで、5000億円は確保できます。
民主党のマニフェストに明記してある政策の凍結は決断としては重いものでありますが、今や、過去の経緯や体面や、そういうものにとらわれている余力は、この国にはありません。
3.地方活性化策を強化すべき。
政府の経済対策の具体的内容をみますと、地域活性化対策が致命的に弱い。
政府の対策では、地方自治体が自由に使える資金であります地域活性化交付金が3500億円となっておりますが、市町村が全部で1727もあり、都道府県が47もある実情を考えれば、これでは全く不十分であります。これは、せめて1兆5000億円規模で地方に交付すべきであります。
以上が、政府が緊急に打たねばならない手でありますが、同時に、将来の我が国のメシの種になりうる新産業・新技術の芽には、23年度本予算の方でしっかりとした対応をしていくべきです。2番でいいなんていう気持ちでこれらの施策を考えてはなりません。
最後に、先日ノーベル化学賞を受賞された鈴木章・北大教授の言葉をご紹介します。
「研究は一番でないといけない、二位ではどうかなどというのは愚問、このようなことを言う人は科学や技術を全く知らない人だ」
「科学や技術を阻害するような要因を政治家がつくるのは絶対だめで、日本の首を絞めることになる、一番になろうとしてもなかなかなれないことを政治家の人たちも理解して欲しい。」
夢のあるプロジェクトこそ、日本再生の鍵です。
平成22年11月1日
衆議院議員 さいとう健