危機管理の危機
多くの問題を抱える民主党政権ですが、さいとう健が一番問題視しておりますのは、この政権は危機管理ができないということであります。
口蹄疫、円高、尖閣、これらは全て危機管理の問題であります。
口蹄疫では、発生後の一番大事な時期に、農水大臣が9日間にわたって不要不急の中南米出張に出かけ、30万頭の殺処分という被害の拡大をもたらしました。
自民党政権の下で口蹄疫の発生を確認した2000年には、迅速な政治主導により、宮崎県では35頭、北海道では705頭の殺処分で食い止めました。事実だけ申し上げておきます。
円高。為替の安定は、国際協調なくしてはありえません。特に日米協調。ですが、82円という史上二番目の高水準になっても、アメリカは動きません。
インド洋の給油・給水活動から撤退し、普天間では迷走し、トラストミーと言ってオバマ大統領の顔に泥を塗るということを続けておいて、円高では日本を助けてくださいと言っても、アメリカが聞く耳を持たないのは当然ではないでしょうか。この一年の対米政策の失策の付けが回ってきたという感じです。
この水準の円高が続けば、日本企業の海外生産への移行が続き、国内の雇用はどんどんと失われます。円高が民主党の代表選の最中に進行していったことは記憶に新しいところです。
尖閣。これほど、日本の危機管理能力のなさ、外交力のなさを露呈した事件はありません。覚悟のないまま船長を逮捕し、相手国と落としどころを探らずに船長を釈放して付け込まれ、しかもその責任を全て検察に押し付ける。
これはもう、素人の思いつきの外交と言われても反論できないのではないでしょうか。
この事件が発生したのは民主党の代表選の最中であり、船長が釈放されたのは、総理も外務大臣も国内にいないときでした。いったいどれだけ詰めた検討をした上での判断だったのでしょうか?
さいとう健は、他党の批判をするのは好きではありませんが、こと危機管理においては、そうはいきません。国民の生命・財産に直結するからです。また外交のミスは、政権が変わってもなかなか取り戻せません。危機管理や外交の局面においては、野党のやれることは限られておりますが、それでもなお、国会の場を通じて、厳しく政府を正していくことでその責任を果たしていかねばならないと思い定めております。
平成22年10月1日
衆議院議員 さいとう健