法務省の仕事から その1
昨年11月に法務大臣に就任し、約半年が経ちました。臨時国会開会中の突然の就任であり、さいとう健にとりましては、なかなか苦労の多い半年間でありました。
今号では、法務行政に携わりながら気づいた点を、皆さんと共有したいと思います。
<再犯防止>
法務省は、社会の治安を守る仕事が大きな柱の一つになっています。ざっくり申し上げますと、事件が起こりますと、犯人を捕まえるのは主に警察の仕事、刑を決めるのは裁判所、そして、刑を執行するのは法務省の仕事となります。なので、刑務所の管理は法務省の仕事となります。
そういうことで、就任して間をおかず、府中の刑務所などを視察いたしました。府中の刑務所では、入所期間がひとり平均で3年1か月でありました。驚いたのは入所回数です。なんと一人平均5回だったのです。つまり、1回3年1か月で5回入所しているということは、平均でひとり10年以上入所しているということになります。10年も刑務所に入っておりますと、社会に出ても適応しづらく、再度犯罪に走るということになりかねない。
実際に、検挙された犯人が再犯者である再犯者率は、実に48.6%。約半分です。
このことから、世の中の犯罪を減らすには、再犯を減らすことが極めて重要ということになります。
法務省では、この再犯をいかに減らすかという任務も担っておりまして、大臣就任後の本年3月、政府として再犯防止の取り組みを強化するため、今後5年間にわたる「第二次再犯防止推進計画」を閣議決定しました。
この中では、犯罪を犯した者などが、地域社会の中で孤立することなく生活の安定が図られるとこが大事だということで、相談拠点や民間協力者を含めたネットワーク拠点の構築、国・地方公共団体・民間協力者等との連携強化のための施策が盛り込まれております。
さいとう健が感銘を受けましたのは、一度過ちを犯した方々を何とか立ち直らせようと、まさにボランティア精神で活動されている方々の存在です。保護司や更生保護女性会の皆さん、そして、協力雇用主の皆さんの活動には本当に頭が下がります。こういった方々と、一度犯罪を犯しても立ち直れる社会に近づけるべく力を尽くしていきたいと思っています。
令和5年5月17日
法務大臣
衆議院議員 齋藤 健