政府の地球温暖化対策に物申す
11月4日(水)の衆議院予算委員会における私の質問に対しては、
皆様より多くのご意見をいただきました。ありがとうございました。
政府・与党とは正論で勝負する。
これが、さいとう健の真骨頂です。予算委員会でもそうでしたが、
今月の政党機関紙「自由民主」でも、環境部会長として、正論を展
開しております。少々長い内容ですがお付き合いいただければ幸い
です。
【地球温暖化対策の問題点】(自由民主より抜粋)
■説明せずに約束
(質)鳩山総理は温室効果ガスを2020年までに1990年比で
25%削減という目標を国連気候変動サミットで提示されました。
(齋)高い目標は結構ですが、問題なのは、そのプロセスです。
これを達成するには、国民や産業界には大きな負担が生じることに
なりますが、それについての説明はありませんでした。
国内の負担がどのくらいになるかを示していないにもかかわらず、
世界に対して約束してしまうのは、政治のあり方として「国民軽視」
と言えるでしょう。
さらに、①国民生活への影響②海外からの排出権購入を含まない
「真水」がいくらあるのか③原子力発電の位置づけ④ガソリン税の
暫定税率廃止の影響-
これらの重要なテーマについて質問しても「検討中」や「よくわか
らない」など、明確な回答がありません。
このような状況で、いきなり、思いつきのように、国際的に公約し
てしまうのはいかがなものでしょうか。
■不鮮明な”過程”
(質)自民党政権下では6月に2005年比15%減という目標を
発表しました。
(齋)そこに至るまでに、福井俊彦前日銀総裁を座長とする中期目標
検討委員会で7回にわたって議論しました。
環境、エネルギー、経済の分析を行う研究機関の人にも参加していた
だき、膨大な資料の検討を行いました。
それを踏まえ、六つのシナリオを国民の皆さんに示し、議論を重ねた
上で、最終的には麻生総理(当時)が決断し、その中から一つを選ぶ
というプロセスを踏みました。
さらに、この目標設定によって、どのくらいの影響が出るか、麻生総
理自身がテレビを通じて、国民の皆さんに説明するという努力をしま
した。
党地球温暖化対策推進本部でも同時並行的に、有識者などを招き、四
十数回も議論し、目標設定に万全を期しました。
このように、目標を設定するまでの過程が、わが党と民主党とでは決
定的に違います。
どちらが国民生活のことを考えて、この問題に真摯(しんし)に取り
組んでいるかは明らかだと思います。
■基準年にも疑問
(質)基準年も、わが党(2005年)と民主党(1990年)とで
は違います。
(齋)基準年は国によって様々で、欧州などは1990年を使っていま
す。ここで重要なのは、世界全体の温室効果ガスの約4割を排出して
いる米国と中国は2005年を基準年としていることです。
両国を国際交渉に巻き込まなければ効果的ではありませんから、200
5年を基準年にすべきだと思いますが、なぜ民主党が1990年にする
のか理解できません。
■責任の所在追及
(質)国際交渉についてはどう考えますか。
(齋)国益をかけた交渉になりますから、政府にはしっかりやってほし
いと思います。
わが党は、その戦略に問題がなかったかを検証し、責任の所在をはっき
りさせていかねばならないでしょう。
鳩山総理が「25%削減」の目標を先行発明したことは、現在のとこ
ろ、国際交渉にプラスになっていないと思います。
日本が高い目標を発表したことを、他の国が喜ぶのは当然です。これを
受けて、目標を高く設定した国が出てこないと、提案が成功したとは言
えません。
■独自の「政策」を
(質)部会として、今後の取り組みは。
(齋)野党になったわけですから、これからは独自で研究し、政策を打ち
上げることで、政府と対峙(たいじ)していかねばなりません。
自分たちの考えを国会の委員会やメディアを通じて発信し、広くアピール
していきます。
2009年11月13日
衆議院議員 さいとう健